寄せては引く波のように

2022/5/26(木) 0 Comments

福岡県と佐賀県の県境、ここかしこ、春先一番に麦が植えられます

麦の成長は早く、1、2週間前は、まだ緑の麦穂でした

それが今や

一面の実りを迎えました

子育てシーズンを迎えた鳥たちが、麦の上をにぎやかに飛び交っています

麦はこの後刈り取られ、次にこの辺りでは大豆が植えられます

大豆は夏に緑になり、一部が枝豆として出荷されます

でも大部分は、そのまま放っておき、大豆になるのを待ちます。収穫前の一面の大豆畑は、枯れちゃったんだと悲壮な感じになるくらいの見た目になります。でも、さやの中で、ふっくらおいしい大豆になっているんです

花、緑、茶色、そしてまた緑、茶色・・・繰り返し、繰り返し、巡ります

花が散っても慌てなくていい。緑が茶色になっても慌てなくていい。

繰り返す自然のサイクルは、豊かな気持ちと安らぎを与えてくれます。

ここで、こうして巡る季節を思うとき、私は、新宿の街頭を思い出します。

東京の、渋谷と新宿のはざまに生まれ、見上げる空は四角いと思い疑わなかったあの頃

暗くならない新宿の夜の、紫がかった空の下、バスに乗って帰宅する日々でした

新宿から家までのバス通り沿いの道には数メートル間隔に街灯が立っていて、バスの進行に連れ車内にも、ちかっ、ちかっと、定期的なリズムで街灯の明かりが入ってきます

すとんとバスのシートに身をうずめた自分は、ちかっ、ちかっと、暗い車内がオレンジ色に照らされるのをじっと見つめていました

繰り返し、繰り返し、

オレンジ色は繰り返す

一体いつになったら

この繰り返しは終わるのだろう

……

今や新宿のバスの車内のオレンジ色の点滅は

太陽の運行に代わりました

そして畑の緑のうつりかわり、季節の巡りをマーベリックと見つめています

幼い日のことを思い出します。家族4人で毎週末、新宿の小田急デパートでご飯を食べました。その中でも、不二家レストランのチキンバスケットが大好きで、そこへ行くといつもそれを頼んでいたので、お店の人に「お嬢ちゃんはいつものね」なんて言われていたのを思い出します

成長してからは、待ち合わせの場所として、小田急はたくさんの思い出を飲み込みました

そんな小田急も、今年の秋、解体です

姿はなくなっても、その本質はいつも、ここにある

形なきあとも、みんなここにいる

降り積もる落ち葉の上に、虫たちの行きかう土の上に

花が咲き、葉が茂り、葉を落とし、風景に溶け込んでいく木々のうちに

広がる麦穂のなかに・・・

自然は、大地は、植物の芽吹きは、空も、水も、生き物の営みは、みな、語らずまでもなくそれを示しています

「みんなここにいる 安心して・・・」

寄せては引き 寄せては引く波のように…ひたと胸にせまります

フレンチブルドッグひろば

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