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散歩/Walking with Mave 随想/essay

中村哲さん

中村哲さんの、あまりにも悲しいニュースが入ってきた。

中村さんは、中東の地に赴いて、そこでまず必要なのは医学ではなく、衛生的な水であることに気づく。

「とにかく生きてくれ、病はそのあとで治すから。」

そして、それを自ら行動にうつされた。

中村さんの数々の思いの中から、印象的な言葉を思い出す。

以下、引用します。

「アフガニスタンで事業をおこなうことによって,少なくとも私は世界中を席巻している迷信から自由でいられるのです.一つには,お金さえあれば,幸せになれる,経済さえ豊かであれば幸せになれる,というものです.

「もう一つは,武力があれば,軍事力があれば自分の身を守れるという迷信です.武力が安全をもたらすものかどうか,丸腰でおこなう用水路建設での私たちの経験が教えてくれます.このような実体験によって,私たちは幸いにも,この強力な迷信から自由です」 

中村哲さん、享年73歳。命を救うため、問題の根幹に踏み込んで、解決に奔走された数十年間。

今、皮肉にも、その武力という迷信によって中村さんが命を奪われなくてはならなかったことへの行き場のない怒りがどうしようもなく込み上げる。込み上げるけれども、

中村さんの数々の言葉と、丸腰での活動により、何百万何千万もの人々の命は救われた、その事実を見渡すとき、

この、胸に込み上げるエネルギーをどこに向けるべきかは、自然、見えてくるはずだ。

中村さんが望むのは、犯人探しに躍起になるような、きりのない戦いでは決してない。

もっと根本的に、今もどこかで苦しんでいる命を救う方法を模索し、行動すること。中村さんが見てきたこと、感じた思いを、今生きている私たちが、各々の形で、引き継いでいくことだと思う。

いまこそ、中村さんのしてきたこと、その生き方に学ぶときだ。

そしてまた、中村さんは、あと20年は活動を続ける計画を立てていたという。何かをするのに、年齢は関係ない。食べ物も水も約束された日本の私たちの、どこかそれだけでは満たされない心をも救ってくれる、力強い言葉と思う。

平和を願い、尊い命が幸せに生きられる世界が実現できますように。その願いが引き継がれるように。私たちはもうその歩みを止めるわけにはいかない。中村哲さんの思いと生きざまが大きなうねりとなり、この先の道を開いている。

中村さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

フレンチブルドッグひろば

作成者: Marple

日本の南で、太陽をさんさんと浴びながら、そこはかとなく暮らしています。
I live vaguely while taking the sun brightly in the south of Japan.

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